元東大院生、不登校を語る〜箱の外で考えて〜

小学生の頃から筋金入りの不登校だった元東大院生が不登校に関する考え方や体験を綴ります。

8. 不登校に関する最近の政府の取組みにツッコミを入れてみる

どうも。箱の外の中の人です。 

 

一回余計な?更新を挟みましたが、第7回の記事に引き続き、最近の不登校に関する政府の取組みについて書いていきます。 

hakonsoto.hatenablog.com

 

前回は、(自分としては)割と褒めちぎっていたのですが、今回はツッコミを入れていきたいと思います。  持ち上げて落としていきます。

 

 

文科省の通知・事務連絡に関する疑問点

前回取り上げた文科省の「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」には

「義務教育段階の不登校児童生徒が自宅においてICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについては,平成17年7月6日付け17文科初第437号『不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について』によるものとすること」

とあります。

 

しかし、この文書(17文科初第437号)を参照すると、「不登校であることによる学習の遅れなどが、学校への復帰や中学校卒業後の進路選択の妨げになっている場合がある」と問題を指摘したうえで留意事項として

「この取扱いは、これまで行ってきた不登校の児童生徒に対する取組も含め、家庭にひきこもりがちな不登校児童生徒に対する支援の充実を図るものであり、学校に登校しないことを認める趣旨ではないので、IT等を活用した学習活動を出席扱いとすることが不登校状態の悪化につながることのないよう留意すること」

としています。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/06041201.htm

 

つまり、引きこもりがちな子については、ITを利用した学習によって出席扱いにはするけれども、

①だからといって登校しないことは認めないし(生徒児童に対してのスタンス)

②これによって不登校が長期化したり、学校への復帰の意欲が削がれないよう気をつけろよ(学校に対してのスタンス)

ということになっています。

 

さて、ここで問題は、IT学習をすれば出席扱いになるのは、「引きこもりがちな不登校児童生徒」だけだということです。なぜ、そうでない子たち、普通に学校に行けるけれどもIT利用学習をしたい子たちに対しては、IT利用学習で出席扱いにしないのでしょうか?

 

これは不公平ではないでしょうか。やっていることは同じです。

 

「どうしても学校に来れないなら、仕方ないから出席扱いにしてやるよ」と言っているとしか思えず、不登校数のカウントを減らしたいだけなのではと勘ぐられても仕方がないように思います。(それにしても後々みる通り、うまく行っていませんが笑)

 

IT利用学習で出席扱いになるための要件がひどい

「いや、それはみんなIT利用になったら、本当に学習しているのか確認したり、管理するのが大変だから…」という説明があるかもしれません。

 

それも理解できます。というのも、IT利用学習で出席扱いにするための要件がとてつもなく煩雑だからです。

 

前述の文部科学省の文書による出席扱いの要件の概要は以下のとおりです。

  (1)保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。

  (2)IT等を活用した学習活動とは,ITや郵送,ファクシミリなどを活用して提供される学習活動であること。

  (3)訪問等による対面指導が適切に行われることを前提とすること。対面指導は,定期的かつ継続的に行われるものであること。

  (4)学習活動は,当該児童生徒の学習の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること。

  (5)校長は,当該児童生徒に対する対面指導や学習活動の状況等について,その状況を十分に把握すること。

  (6)基本的に当該不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動であること。なお,上記(3)のとおり,対面指導が適切に行われていることを前提とすること。

  (7)学習活動の成果を評価に反映する場合には,学校が把握した当該学習の計画や内容がその学校の教育課程に照らし適切と判断される場合であること。

 

長い!要約したのに長い!

 

まず、先生との関係が原因で不登校になっている子どもには、(3)の要件である対面指導はキツすぎます。

 

先生に会いたくなくて学校にいってない子もいるんだから。。

 

ソーシャルワーカーの訪問などでもよいようですが、人に会いたくない時期もありますし、その期間でもちゃんとICTで学習しているなら、評価してあげればいいと思います。

 

というか、ICT の最大のメリットの1つって対面をなくすことじゃないですか?というツッコミを入れたくなります。

 

次に、それを前提とする(6)は同じ問題を含んでいますが、それに加えて「公的機関や民間施設において相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動であること」という条件。

 

つまり、引きこもりがちであることが要件になっているわけです。

 

これ必要ですかね?

 

公的機関や民間施設において相談・指導を受けられるけれども、そうしないで自宅においてIT等を活用して学習活動をした場合には出席扱いにならないってことです。こうする理由って、学校>民間施設>自宅という序列を付けたいとか、学校の管理の都合以外に何かあるんでしょうか。

 

子どもからしてみてたら、やってることは一緒なのになんで評価が違うんだ!って思うはずですから、ちゃんと納得できる説明が必要だと思います。

 

出席扱いをする価値がIT利用学習にあるのだと言うのなら、なぜ、それを等しく皆に与えないのでしょうか

 

ITの進展、そしてITの利用が教育で進みつつある中、この問いに真剣に答えなければいけない時代がもうやってきつつあると思います。

 

さて次に、(3)もそうですが、(5)校長の把握という要件も学校の現場にとって、ものすごく負担だと思います。

 

ただでさえ先生は忙しいのに、個別に往訪して、学習状況を校長にまで報告しないといけないなんて、現場の先生は耐えられるんでしょうか。耐えられたとしても、相当な無理が発生するはずです。

 

だいたい、普通に学校にいっている子たち全員のことを校長が把握していますか?

相当少人数の学校でないと無理ですよね?

なんでIT利用学習にこんな要件を追加するんでしょうか。無駄に煩雑で、利便性を損なっていると思います。しかも毎日の出席評価を判断するなら毎日報告しないとダメなんじゃないでしょうか。そんなの実務的に回ると思いませんが…

 

(7)は、学校教育である限り、仕方ない面があると思いますが、これがあることによって、学校で評価されるためだけに頑張るといった事態が発生しないといいなと思います。

結局、学校教育に回収してしまうことになって、子供の多様性を伸ばすことにはならないのかなと思います。

せっかく学校に行っていないのだから、学校ではできないことに取組んでほしいなと思います。

 

さて、長くなりそうなので、またまた次回に続きます。

 

次回も読んでくださいね笑

 

あと、内容的にシェアとかも大歓迎です!笑