元東大院生、不登校を語る〜箱の外で考えて〜

小学生の頃から筋金入りの不登校だった元東大院生が不登校に関する考え方や体験を綴ります。

元東大院生が語る!不登校7年から塾も行かずに全国模試4位になった勉強法

中二の12月まで全く勉強をしていなかった不登校児が、塾も行かずに2年半くらいで全国模試で4位になった勉強方法を公開します。

 

というのも、実家に帰って部屋の整理をしていたら、全国4位になった時の全国模試の結果表が出てきたので、ちょいと当時の勉強スタイルでも書いてみようかと思い立ちました。

 

私の持ちうるすべてのパワーワードをぶち込んだだけの、センスのかけらもない長大なタイトルですが、嘘は言ってません!笑

あと、1位じゃなくて微妙な順位ですみません!笑

 

ただ、全国4位とは言っても、高校2年生の夏の模試で国語、英語、社会の3教科の合計という限定は付きますが(単一教科なら満点で1位にもなりましたけど、それだと結構いっぱいいますからね…)

 

あまり細かい情報を出すと、成績上位者のリストから名前が特定されかねないので控えますが、一応ホントです笑

 

常識とはちょっと違うかもしれない、意外性があるかなってものを主にに書きました。

不登校の子だけでなく、自学を頑張る子たちの参考になれば嬉しいです。

 

注)特定の教科の話ではなく、勉強の仕方そのものの話です。

 

もくじだよー

 

勉強のハードルを下げる

まず、2番目に大事なことを書きます。(1番大事なことはよくある話でつまんないので最後に書きます。だけど大事。)

 

まぁ、勉強そのものが好きな子って、あんまりいないと思うんですよね笑

 

大体の子は、めんどくせーなと思うと思うんですよね。特に不登校で、これまで勉強してこなかった子はそうだと思うんです。

 

だからこそ、勉強に取りかかるためのハードルを下げることは、多くの子に効果的だと思います。

 

もう、できる限り下げましょう。100メートルくらいならハードル高くてもいいかもしれませんが、勉強は終わりのないマラソンみたいなもんです。ハードルは倒して走りましょう。

 

具体的に私がやっていたことをいくつか挙げてみます。

 

  • 身の回りの手の届く所に教材を置いておく。
  • 教科書・参考書は閉じない。片付けない。
  • 書かない。読むだけ。ただし繰り返し読む。
  • わかる気配がなければ答えを見る。

 

あくまで例なので、自分の好きなようにアレンジすればいいと思います。目的は勉強開始の心理的・物理的ハードルを下げることですので、それに役立つならなんでもありです(Whatever works!)。

 

念のため断っておきますが、もちろん人によって向いている勉強方法は違います。ゆえに、自分で勉強方法を工夫することもとても大切です。学びながら学び方も学んでいくことが重要です。学ぶ内容より重要と言ってもいいです。

 

身の回りの手の届く所に教材を置いておく

私は布団の周りの手の届く範囲に教科書とか参考書を無造作に置いてました。

あとは、座椅子とか、自分がよく居座るところに何かしらの本を置いていました。

生活の中で、自分が長い時間を過ごしがちな場所ってありますよね。そこは居心地のいい場所なので、そこを勉強スペースに変えちゃいましょう。次第に無理なく、気がついたら何かしらの勉強をしているようになることが最終目標です。

色んな教科の教科書や参考書を身の回りに置いておくことも効果的だと思います。私は1つの教科に飽きたり、行き詰ってしまったら他の教科で気分転換をしてました。あるいは同じ教科でも参考書を変えて頭を切り替えていました。

 

教科書・参考書は閉じない。片付けない。

勉強を始めるまでに労力をかけるのはエネルギーと時間の無駄です。

机に向かって、棚からノート、教科書、参考書出して、引き出しから筆箱出して、そこからペンと消しゴム出して、参考書は何ページまでやったんだっけ(パラパラ)…なんてやってるともうメンドクサクテやらないし、その時間ももったいないので、しまわない。やったらやったとまま置いておく。机の上や布団の近くに、途中のページを、開いたまま置いておく。

散らかるのが嫌だと思う方も多いと思いますが、小テーブルなどを1つ置いて、その上に積んでおけば気になる程ではないと思います。それでも気になる方は、付箋を貼るなどの他のやり方で工夫してみましょう。

 

書かない。読むだけ。ただし繰り返し読む。

こんなこというと、書かないと覚えられないという反論が絶対あると思いますが、書くスピードと読むスピードを比べてみてください。

 

日本人の1分間に読める文字数の平均は400字から600字らしいです。

試しに1分間に何文字書けるかやってみてもいいですが、それより感覚的にわかりやすいのは、あなたは人がしゃべっている文字をそのまま書き取れますか?

きっと無理ですよね。速記という特別なスキルが必要になるくらいですから。

 

だいたい話しているのは1分間に250字くらいですから、それですら到底書けません。

 

読むのはさらにその倍の速度です。

 

おそらく読むのは書く10倍以上の速度になるでしょう。

 

10回書いて覚える勉強方法をしているとしましょう。読むだけならその間に100回以上できます。しかも手が疲れないから長時間できます。

 

それも鉛筆もノートも要らず、本や携帯、紙ぺら一枚でもいいので、場所も時間も選びませんから手軽です。これでもハードルを下げることに役立ちます。

 

机の前でしか勉強しない・できない人は、目の前に机がない時間を勉強に使えないので、とても損をしていることを自覚しましょう。

 

さらに、あなたは文章を読むときに、ただ読んで理解するのと、書きながらとでは、どちらが文章の意味を理解しやすいですか?

きっと前者ですよね。書きながらでは余計なことに気を取られて理解に集中できませんよね。

記憶の仕方には色々ありますが、まず大事なのは、意味を理解することです。そのあと忘れてもいいんです。一度しっかり理解すれば次に理解するときはずっと容易いです。また読めばいいんです。読むだけならすぐできますから。

 

ただし、なぜそうなるのか理由や意味がわかるまで読む。これが大事です。

 

絶対書くなというわけではありません。何度読んでも忘れちゃって、他の方法じゃないとダメそうだな、書かないと覚えられなさそうだなというところが出てきますから、その時書けばいいんです。あるいは数学の計算処理なんかはよほど暗算が得意でない限りは書いたほうがいいですね笑

 

その他、私の場合は、意味はわかるけど英単語の綴りや漢字が書けない、といったときにだけ書くにとどめていました。

 

わかる気配がなければ答えを見る

上で書いてきたのとはちょっと毛色が違いますが、自分で解けるまで答えを見ないというストイックな姿勢はそんなに必要ないと思います。

意地を張って自分で解き切るんだと意気込むと、問題に取りかかる心理的ハードルが高まりますし、余計に時間がかかって効率的ではありません。

感覚的な言い方になりますが、「こりゃいくら考えてもわからんな」と感じたら答えを見ましょう。

特に勉強し始めたくらいの頃は、発想・思いつきの引き出しもろくにないので、考え方の引き出しを答えから学ぶことのメリットの方が大きいと思います。

答えを見るといっても、ヒントになる部分だけ確認して、あとは自力で解いてみたり、工夫の余地はあります。

大切なのは、答えを見るからには、何故そうなるのかをしっかり理解することです。納得できるまで答えを存分に読み、考えましょう。

 

毎日続ける。けど長時間続けない。

さて、勉強のハードルを下げるための工夫をいくつか紹介してきましたが、勉強のハードルを下げるのは何故でしょうか。

 

毎日やるためです。

 

もっというと、コツコツちょっとした勉強時間を積み重ねやすくするためです。

 

毎日勉強する習慣をつけること。気がついたら勉強してるくらい、勉強を日常の一部にすること。これが理想的だと思います。

 

そして、長時間続けないことも大事だと思います。

 

あんまりこんを詰めて長時間ガリガリやると疲れちゃいますよね。勉強の質が下がります。かけた時間と疲労の割に、あんまり身につきません。

 

もちろんトータルの勉強時間は長く取れる方がいいのですが、人間の集中が続くのは長くても40分くらいだそうです。

60分続けて勉強するより、15分×3セットで少し休憩を挟みながら勉強した方が、効果があるという研究もあるそうです。

 

もちろん、数学の証明や、国語や社会科系の論述問題など、解くのに15分以上かかる問題だってたくさんあります。

そういうのは別途練習が必要ですが、基礎的な知識を定着するには、細切れで、コツコツ積み重ねていく方が、スキマ時間も活かせるし、疲れなくていいと思います。

出来るだけ楽して、省エネでいきましょ。

 

人間の集中なんて長時間は続きません。学校の授業も長すぎです。

1つの区切りのつく内容を終えたら、余力があれば先に進んでもいいですが、別の教科に取り掛かったり、好きな音楽話聞いたり、適宜休憩や気分転換をしてました。

 

何時間勉強したか気にする人も多いと思いますが、むやみに長時間勉強するより、身についた内容で成果を判断しましょう。

時間を測るのは試験対策で、制限時間内に問題を解き切れるか試すときくらいで十分です。

試験に集中力が持つか気にする人もいるかと思いますが。毎日自然に勉強出来るくらいになれば、試験時間を乗り切る勉強体力もついてるはず。

 

順序よく体系的にやる。けど気が向いた教科からでよし。

わたしの場合は、某通信講座をとってもらって、毎月課題をやっていました。

まず何もわからない状態のときは、教科書とか、参考書とか、通信講座とか、なんでもいいですが、体系的に順序だって基礎全体を漏れなくカバーしているものに取り組むべきです。

理由は、基礎から応用に積み上げていくためです。これについては詳しくは次の項目に譲ります。

ただし、どの教科をその日その時間でやるかは、その日の気分によって変えていいと思います。もちろん苦手だったり嫌いな教科にも取り組まないといけませんが、それは期日までになんとかすればいいので、自分の調子や気分によってある程度柔軟に取り組む順番を変えていいと思います。

特に、勉強を始めたばかりの頃は、何をやってもプラスですから。あまり順番は気にしなくてもいいと思います。

 

しばらく勉強を続けて、成績の目標とか志望校が定まってきたら、ある程度教科ごとの時間配分や力のかけ具合も、気にしないといけませんが、それでも、全体として、目標とその目標を達成する期日までにやり残すことがないように調整をするという前提を守った上でなら、気が向く教科から処理していって問題ないように思います。

いずれやらなきゃいけないんで笑

 

「あぁ、漢文やらなきゃ!でもやりたくない!」って時に無理してその漢文に取り組もうとして、重い腰が上がらないよりは、例えば好きな曲聞いて出てきた英単語調べるとか、気分的に手軽に出来るものから取り組んだ方が、時間も無駄にならなくてストレスも溜まらずによいと思います。

 

基礎がわからないまま進まない

応用問題が解けないのはいいとして、単元ごとに基礎は完全に理解するまでやりましょう。

 

後で高度な内容が理解できなくなるからです。

それどころか、なんで理解できないのか、原因がわからなくなる恐れがあります。

基礎が穴だらけだと、自分がどこでつまづいているのか、どこを勉強し直せばいいのかすらわからなくなります。

 

高校の同級生に、「今回のテストは、前回の赤点を挽回するために高得点を取らなきゃいけないから、応用問題を集中してやるんだ!」って言ってた子がいました。

私は「それより基礎問題落とさないようにした方がいいんじゃない?」って言ったんですが、彼の意思は固かった。すごく頑張って応用問題に取り組んだと思うんです。きっと。

結果は2点でした笑

多分応用問題「だけ」頑張ったんでしょうね…

 

それは極端な例としても、イメージしていただきたいのですが、勉強した内容を忘れてしまっていたとして、昨日勉強した内容より、1ヶ月前に勉強した内容を理解し直す方が難しいですよね?さらに半年、1年、3年と遡っていけば、だんだん、初めて勉強するのと変わらないくらい手間がかかるようになると思いませんか?

 

そんなことを応用問題を解けないといけない時期にやり始めたのでは完全に遅いので、早めに始めて、忘れたりして理解が怪しくなってきたと感じたらその都度復習して、理解を固める必要があります。これは計画を立てられるようなものではなく、その時々、自分の理解度、具体的には間違ってしまった問題などから判断して対処しなければなりません。

ですが、その過去の学習内容のメンテナンスが少なくて済んだらとても楽ですよね?

 

基礎というのは、建物と同じで、その上に何かが乗っかるから基礎というのであって、簡単だからではないのです。その上に高度な内容を積み上げていく作業が待っているのですから、その作業にも時間がかかります。

 

時間がかかると、何が起きるかというと、覚えたはずの基礎を忘れていきます。基礎が古くなって脆くなってしまいます。

 

私の場合は、中2の終わり頃から、1から勉強をはじめ、高校受験を終え、そのままほぼ基礎を忘れる間もなく大学受験のための応用的な内容に取り組めたことが、比較的短期間で全国上位に入れたミソだと思っています。

 

2019/7/30追記

アメリカで、YouTubeに無料の講義動画を載せているカーン・アカデミーを主宰しているカーンさんの著書に興味深いエピソードがあります。

算数の通常カリキュラムに加えて、カーン・アカデミーの動画を利用するという試みを学校で初めて採用してもらう時に、2つのグループに分けて、講義のスタート地点をそれぞれ、①「1+ 1」という初歩の初歩から、②自分の学年に近い内容(五年生レベル)の復習から、に分けて実験を行なったそうです。

結果としては、まず、①のグループではかなり早い段階の基礎的な内容からつまづいてしまっている生徒が見られたということです。ただし、つまづきのポイントがわかれば、これを修繕して、そのあとはスムーズに学習が進んだそうです。

これに対して②のグループの学習の進捗は、カーンさんも驚くものでした。本人に語っていただきましょう。

意外なことに、五年生レベルからスタートしたグループはまったく対照的でした。スタートラインがずいぶん先だったわけですから、六週間の講座が終わるころには、もうひとつのグループよりもずっと先の内容をやっているだろう、と私は思っていました。ところが実際には正反対でした。昔話のウサギとカメのように、「1+ 1」のグループは少しずつ少しずつ歩みつづけ、最終的にはウサギを追い抜いてしまったのです。一方、何歩も先からスタートしたグループには、壁にぶつかって進歩が見られない生徒がいました。六年生、七年生の学習内容がわからないのは、おそらくもっと前の内容でつまずいていたからです。

アメリカの学校の学年の分け方は日本と違います。六年生、七年生は、中学にあたり、11〜12歳くらいの子が通うイメージです。

世界はひとつの教室
 

追記箇所は以上

 

基礎を軽んじると痛い目にあいます。簡単だと思うなら100%の理解を目指しましょう。古く脆くなったらメンテしてあげましょう。

そういう意味では、40点取れれば次に進んでよしとするような学校の試験は本当にダメな設計です。生徒のためにはならないです。あれはわかってない子がいても次に進むためのカリキュラムや先生の都合だとしか思えません。

 

だから、勉強遅れちゃってるよって子もそんなに心配しないで。これから一気に抜き去るためにはむしろ好都合くらいに考えて、気楽に、(でも真剣に)やりましょう。

 

長くなったので要約すると、基礎がおろそかだと問題になるのは、①どこでつまづいたのか特定するのに時間と労力がかかる、②復習に時間がかかる、さらに③基礎の上に応用を積み上げるのにさらに時間がかかる、ということです。

 

忘れるほどの時間をおかずに、短期間で基礎を抜け漏れなく理解して、全体をカバーしたことが、わたしが他の学校でコツコツやってきた子たちを抜き去った1番の要因かなと思います。

 

理想を持つ、憧れを持つ

よく言われることで、ありきたりでつまんないんですけど、自分がやりたいことやなりたい自己像をハッキリ自覚して、そのために勉強することが一番大切だと思います。

 

それを見つけるのは自分にしかできないことなので、そして若いうちに見つけた方が絶対にいいものなので、勉強に身が入らないならそっちに注力した方がいいです。

 

結果として、そのやりたいことやなりたい自分にとって、勉強が必要ないのであれば別にそんなに勉強しなくてもいいと思います。どうせそのうち忘れるし。

 

ただ、やりたいことやなりたい自分にとって、勉強が必要なのであれば、やりましょう。

そしてこれを揺るぎなく持ち続けることです。毎日のモチベーションになります。

逆にすぐに揺らぐようなら考え直しましょう。頑張るのが辛くなるから。そして、妥協して、目標を下げてしまうから。

勉強のハードルはいくら下げてもいいけど、目標は安易に下げちゃだめです。

 

あるいは、そのやりたいことやなりたい自分がないときは、とりあえず勉強して損はないと思います。将来の多くの選択肢の可能性を開いたままにできますから。